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20時半を過ぎた頃、私は電車に揺られていた。
みんな真剣な眼差しで、ケータイをいじっている。
──ケータイ……か。
タクミ、あれから連絡ひとつなかったな。本当に私の事、好きじゃなかったんだ。
もしかして、朝になったら気が変わって、連絡でもあるんじゃないか、なんて期待したのを思い出して惨めになった。
あ……降りなきゃ。
仕事の疲れもあってか、ぼーっと歩いていたらすぐに『咲』に到着した。
なんか変な事に巻き込まれちゃったけど、今の私には丁度良いかもしれない。何か新しい事に夢中になりたい……。恋愛なんて、もういいって、なれるくらいに。
時計は21時5分になるところだ。
ちょっと遅れちゃった……戸田課長もう居るよね?
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