プロローグ

2/6
前へ
/307ページ
次へ
木々の隙間から見える空は鉄のように暗く、重い色をしていた。 深く、人目につかない様な深い森で五人の男の姿が見える。 一人は踞り、その他の四人はその男を取り囲むように立っていた。 踞っている男はラモラック・ド=ゲール・ペリノー。 銀色の髪を乱し、肩で息をしているその体から所々赤い血が流れている。 取り囲む男たちは皆、青い髪をしている。 ロット一族。 青い髪はロット一族の特筆すべき特徴である。 ラモラックの前に剣を向けている男はガウェイン・ロット=オークニー。 その他は次男のアグラヴェイン、三男のガヘリス、そして五男のモードレッド。 その様子からみて、ラモラックが彼らから攻撃を受けている事は明らかだろう。  「貴様の罪は原罪よりも重い」 ガウェインは父親であるロット王を討ち取ったペリノア王の息子であるラモラックに罪を宣告する様な言葉を吐き出す。 父親の敵討ちはペリノア王を討って終わるはずなのに一族までも罪深きものと断罪する。 彼らはまさにその血塗られた負の連鎖をここで終わらせようとしていた。 ラモラックを斬りつけた時にガウェインの剣に付いた赤い血が雫となってポタリとポタリと地面に落ちる。
/307ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加