Prolog

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 αであるか、βであるか。それかΩであるか。性別の事実だけで勝手に自分を判断されるのが大嫌いだ。αであるからお前は優秀なのだな。流石αだ、期待通りの成績を残してくれる。αに生まれてきてくれて本当に良かったよ……  そんな風に勝手に判断されるこの世の中は腐っている。ふざけるな、俺が優秀なのはαであるからではない。例えΩであろうとも俺は必ず優秀であるはずだ。理由は単純。俺が俺である限り、俺は優秀なのだ。 *  正直に言って自分がΩであるという事実は受け入れたくなかった。元来優秀な成績を残してきた私は自分だけではなく周りの多くがαであると信じてきた。それでも簡単な紙切れ一枚でその信仰は破られた。  私がΩであると分かった途端に離れていく周りの人間に胸が痛んだ。Ωであろうがαであろうが、私はきっと何も変わらない。私が私である限り、その本質は同じに決まっているのだから。
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