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軍議室の前まで移動すると、急に扉が開いてユウリが飛び出す。
「きゃあっ」
「わっ、レナ様!? 申し訳御座いません。さあ、中へどうぞ。私は急ぎの用事があるので、これにて」
焦った様子のユウリを横目に、レナ達は軍議室へと入り席に着く。すると、トウマがシンドウに向かって軽く礼をした。
「シンドウ様のお蔭で、最悪の事態を避ける事が出来ました」
「ほっほっほ、タツマキとフブキのおかげじゃ。全てが終わったら、二人を労ってやれ。そんな事より、早く軍議を始めんか」
「分かりました。先ずはタツマキ、現状を説明してくれ」
視線を集めたタツマキは、予め用意していた地図を広げる。
「シキは大将軍イツキと連携して、心国、財国、知国へと侵攻を始めました。軍を率いるのは、シキの信頼が厚い将軍達です。心国は先方隊を追い返しましたが、主力は財国にある為、現状維持は厳しいと思われます。また、光国と始国から同時に攻められる知国も、同様に危険と言わざるを得ません」
「聞いての通り、シキは我々の体制が整わない内に勝負を決めるつもりです。エン様と手を組み、皆が力を合わせれば、敵の猛攻を防ぐ事は出来ると思われます。但し、それは長い年月をかけた争いへと繋がるでしょう。そこで、我々は一か八かの賭けに出ます。光国に忍び込み、反乱の首謀者であるシキを捕える……失敗すれば命は無い危険な賭けです」
誰も驚きを見せない。反論もしない。タツマキ、フブキの思いを汲み取り、トウマを信用してこその反応だった。
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