避けられない戦い

4/5
前へ
/33ページ
次へ
「エン兄様、私も行きます」 「お前が危険を冒す必要は無い。私の代わりに留守を頼む」 「心国の将兵で編成されていると言いましたよね? 私が行けば、兵士さんの士気が上がります。どうか連れて行って下さい」 「しかし、もし敗北した場合、国を纏められるのはレナだけ……」 「兄様とトウマさんが敗北したら、誰が侵攻を止められるのですか? 今の私では国に残っても無力です。平和な国を創る為に少しでも尽力出来るのであれば、私にも命を懸けさせて下さい!」  力強い言葉に圧倒され、エンはトウマへと視線を逸らす。 「国に残り、他国の侵攻に備えて下さい……そう言いたいのですが、レナ様の考えは間違っておりません。心軍が中心の編成だからこそ、レナ様が前線に立たれる効果は大きいでしょう。それに、我らが負ければイツキの侵攻を防げる者はいない……私も同意見です」 「そうか、分かった。但し、絶対に私から離れるな」 「はい!」  軍師の一族を信頼しているエンは、言葉とは裏腹に心の中で勝利を疑わなかった。考えが纏まると、出陣の準備をするべく動き始める。  しかし、会話の流れに違和感を覚えたレナは、トウマだけを呼び止めた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加