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「エン兄様、私も行きます」
「お前が危険を冒す必要は無い。私の代わりに留守を頼む」
「心国の将兵で編成されていると言いましたよね? 私が行けば、兵士さんの士気が上がります。どうか連れて行って下さい」
「しかし、もし敗北した場合、国を纏められるのはレナだけ……」
「兄様とトウマさんが敗北したら、誰が侵攻を止められるのですか? 今の私では国に残っても無力です。平和な国を創る為に少しでも尽力出来るのであれば、私にも命を懸けさせて下さい!」
力強い言葉に圧倒され、エンはトウマへと視線を逸らす。
「国に残り、他国の侵攻に備えて下さい……そう言いたいのですが、レナ様の考えは間違っておりません。心軍が中心の編成だからこそ、レナ様が前線に立たれる効果は大きいでしょう。それに、我らが負ければイツキの侵攻を防げる者はいない……私も同意見です」
「そうか、分かった。但し、絶対に私から離れるな」
「はい!」
軍師の一族を信頼しているエンは、言葉とは裏腹に心の中で勝利を疑わなかった。考えが纏まると、出陣の準備をするべく動き始める。
しかし、会話の流れに違和感を覚えたレナは、トウマだけを呼び止めた。
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