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助手席の女
帰宅途中に立ち寄ったコンビニで友達とばったり会い、車で来ていたそいつに家まで送ってもらうことになった。
駐車場に向かうと、友達が自分の車に歩み寄る。その際、助手席に女性が乗っているのが見えた。
見たことがない女性だが、多分友達の彼女か女友達だろう。単純にそう思い、俺は後部座席に乗り込んだ。
すぐに車が動き出したが、友達は女性のことを紹介しないし、女性の方も自己紹介をしてくる様子はない。
普通ならこういう時、友達が俺に助手席の女性を『彼女』とか『女友達』とか紹介し、また相手にも、俺のことを友達だと紹介するものだろう。
でもそういった動きは一切ない。
人に教えたくない間柄なのか。でもそれならば、俺を車に誘ってくるのは妙すぎる。
一つ一つは些細だが、どうしても沸いた疑問が消せなくて、俺は友達に助手席の女性は誰なのかと尋ねてみた。
「助手席に女? 何の冗談だよそれ」
そう返事をしながらミラー越しに俺を見る友達は、心底意味が判らないという顔をしていた。
「え? だって、コンビニで乗れって言った時からずっと、助手席に女の人が座ってるじゃん」
そう言い終わると同時に凄まじい勢いでブレーキが踏まれた。
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