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10時間前…
「私の大切な21大隊を抱えてる親師団の無能指揮官が死んだそうよ? このままだと西側が隣国の虫けら王国に盗られるわ。もちろん、あなたならどうにかできるわよね。参謀さん?」
アザリアは自分の国が隣国に踏み荒らされているにも関わらず不敵な笑みでニュイブランシュ卿を見る。
「隣国の騎兵師団と言ったらかなりの強敵ですね。私が手を下すまでもないくらいの強敵です」
ニュイブランシュ卿は執務室の窓枠に手を掛けながらアザリアにと対面する。
「皮肉もいいところね。生憎だけど、今は西部戦線の助けが必要らしいわ。これでも私は焦っているのよ?」
アザリアはテーブルに置いてあった紅い紅茶を嗜む。
「とんだ戯れ言を……それでは行ってきますか。エマルの助けに」
「え、エマルって誰? 知り合い?」
アザリアがキョトンとした顔で『真面目にそんなヒト知りません』と言いたそうである。
「エマルは今貴女が助けてと言っていた第21大隊の指揮官ですよ。本当に21大隊は大切なんですか?」
ニュイブランシュ卿が説明するとアザリアは「ふぅーん、まあまあ?」とさぞかし興味の無さそうな声を上げた。
「まぁ、彼国の奴らには私の土地に踏み込んだ事を末代まで後悔させてあげるわ。どうせー」
アザリアはそこまで言ってフッと嘲笑いを入れた。
「今の代で絶えてしまう穢れた民族なのだから」
とニュイブランシュ卿が続けた。
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