第1章破断光線

2/46
前へ
/827ページ
次へ
小さい頃に足を運んだ喫茶店で、初めて飲んだコーヒーが想像以上に美味しくて、その味を作ってと母親に頼み、母を困らせたことが彼にはある。 そんなものは、今思い返してみれば案外どうでもいいものに思えてくるのだが、茨城大輝(いばらきだいき)は、電車に揺られながら、吊り革を持っていた。 火花のような閃光と共に太陽の届く場所から届かないトンネルへと入り込んだ電車は、暗闇の中を走る。
/827ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加