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カタンコトンという音が、爽快な感覚が耳に鳴り響く。
大輝は、電車に乗っている時イヤフォンをつけずにその時々の景色や音、彩りを楽しむことが好きで、今日もトンネルを抜けた先に見える山々の数々に、目を奪われていた。
(きれいだなあ)
ぼそりと、心の中で呟き、右手に見える街並みに目を落とした。
左手には山、右手には街、そしてそ、の奥には海が見えるこの街は、k立地条件としては最高の場所として近年人々から人気を集めていた。
ブルーホワイトライン。
青白く輝く不可視の無線が、その街の上空を流れる。
彼の父は昔、ブルーホワイトライン設計の仕事に就いていた。
だが、仕事があまりにも過酷だったため体を壊した彼の父は、自殺にまで追いやられてしまった。
大輝は時折、その無線を憎いと思うと同時に、何だか誇らしげに思うことがある。
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