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バー・ロビンソン
何を考えているんだろう。
笑った顔が、急に曇る時。
今日、結婚祝いを口実に
夜、突然こうやって時間を作ってもらった時。
誘った時に
君の瞳が少しだけ潤んだ気がして
それだけでも勘違いしそうになる。
もしかしたら君も…
そんなはずはないか。
君は今が幸せの最高潮なはずで。
「すてき…」
君が呟いたこのお店は
誰も連れて来たことないよ。
妻でさえ。
初めてを味あわせてあげたくて
誰とも来れなかった。
凍てついた夜の街を歩いていると
君の頬は赤く染まっている。
思わず手が伸びそうになる。
触っていいはずなんか、ないのに。
「何を飲もうかな」
と真剣に考える君の横顔は
やっぱり綺麗だ。
まだ何も飲んでいないのに
君と2人でこの店にいる
ただそれだけで
正気を失いそうになる。
こんなことを考えるなんて
もう正気ではないのかもしれないけれど。
君が頼んだミモザの味を
私は知らないけれど
そのグラスが空になるまでは
君の時間が貰えたんだと
心の底から安堵した。
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