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ミンジュンは詠美の実家に何度も足を運んだ。
一週間という短い期間に一番したい事は、やはり詠美の家族と打ち解けたい。
煎餅屋の仕事が終わる頃に、ミンジュンと詠美はたくさんのご馳走を買い込んで遊びに行った。
お酒が好きな詠美の父親につき合って、ミンジュンは夜まで飲み明かした。
詠美をどれほど愛しているか、詠美の父さんの思いが胸を突くほど伝わってくる。
でも、詠美の父さんは、亡くなった妻の話は一切しない。
それがただただ苦しかった。
詠美の父さんは、まだ、永遠に詠美のお母さんを愛している。
でも、それが幸せなのか不幸せなのか、今のミンジュンには何も分からなかった。
ミンジュンが韓国へ帰る日の前日、ミンジュンは詠美の父さんに告白をした。
ちょうど詠美は美沙とコンビニまで買い物に行ったため、その時間はミンジュンと詠美の父さんと二人っきりだった。
「あの、お父さん、聞いて下さい…
僕は、詠美さんと結婚したいと思っています。
でも、お父さんやこの家族に悲しい思いはさせたくない。
だから、僕の中でちゃんと準備が整ったら、その時また改めてお父さんに挨拶に来ます。
どうぞ、どうぞよろしくお願いします」
ミンジュンはそう言って、深々と頭を下げた。
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