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父さんは年の離れた妹の美沙おばちゃんには甘かった。
どうして甘いかと言うと、美沙おばちゃんは私の母が亡くなってから仕事を辞めて実家に帰って来てくれたから。
母さんがするはずだったお店の雑用を文句も言わずに引き受けてくれたから。
そして、私のお母さんの代わりを買って出てくれたから…
これが全てのスタート、私が韓国を愛して止まなくなる出発点。
美沙おばちゃんの影響で私こそがどっぷり韓国に嵌まる事になる。
詠美は大学を卒業すると、実家の煎餅屋を手伝った。
叔母の美沙は晩婚だったが40歳過ぎて良縁に恵まれ家を出て行ってしまったし、兄の遼太郎はすぐに煎餅屋を継ぐ事を拒んで、今は都内の商社に勤めている。
ここの煎餅は手焼きで一枚一枚焼く昔ながらの手法のため父以外に職人さんは数名はいたけれど、それでも一人で暖簾を守る事はたいへんな事だ。
父さんの力になりたかった。
老舗のお店を潰さないよう必死に頑張っている姿を見て育ったから…
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