おいしい話には裏がある

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大学在学時、詠美は一年間の韓国留学に行く事ができた。 大学の中に交換留学生制度があり、韓国の女子大が提携校の中にあった。 試験を受けてその制度を手に入れれば留学費はただになるし、今の大学の留年もなくその行った先の大学の単位をそのまま使う事ができる。 老舗の煎餅屋といっても、裕福な家庭ではない。 詠美は必死に勉強してその権利を手に入れ、一年間、大好きな韓国に留学する事ができた。 元々、日本にいる時から韓国語の日常会話レベルなら取得していたため、その貴重な一年間で読み書きそして話す事の両方のスキルを完璧に手に入れた。 と、いうことで、詠美は通訳派遣会社に韓国語専門で登録している。 登録して三年が経つが、まともな仕事の依頼が来たのはたったの二件だった。 ほとんどが、自称アイドルの女の子の日本語レッスン(三か月契約が三日で韓国へ帰って行った)とか、超お金持ち夫婦の日本旅行のための通訳とか、精神的にボロボロになる仕事が多かった。 仕事の依頼が来ても内容を見て断る日々が長く続いていたある日、突然、夢のような仕事が舞い込んだ。
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