おいしい話には裏がある

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詠美はコクンと頷いた。 韓国の元俳優さんで今は実業家で湯水が湧くほどお金を持っている人ならば、綺麗な女性は見慣れているはずで、どっちにしても私はブスの部類に入れられるだろう。 それに三か月間、おじさんの相手に頑張ればいいだけの話だから。 「了解しました。 そのような形で全然構いません」 しかしながら、その時点でもクライアントの名前はまだ伏せられていた。 詠美は何だかとても不安になり、さりげなく担当者に聞いてみた。 「その私が通訳でつく方って、一体どういう方なんでしょうか…?」 担当者は困り顔で専務の方を向いた。 専務は有無も言わさず首を横に振る。 「三日後には本人に会えるから、その時本人に聞いて下さい。 とにかく、全てが内密にという条件が出てるので、森さんももう一度書類に目を通して覚悟を決めて臨んで下さいね」 覚悟を決めて?? 詠美はその言葉を聞いて、体に寒気が走った。 もしかして、私、悪の組織に首を突っ込もうとしてる? 報酬の高さといい詠美にとっては美味しい事だらけのこの話は、何か闇を抱えてるかもしれない。 「じゃ、三日後に羽田で落ち合いましょう」 担当者の声を遠くに聞きながら、詠美は嫌な予感を拭えずにいた。
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