おいしい話には裏がある

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今から15年前、12歳の私は初めて韓国へ降り立った。 私、森詠美は、10歳の時に母親を癌で亡くした。 浅草に84年続く老舗の煎餅屋が私の実家。 三代目の跡を就いだばかりの父と、高校生の兄、そして10歳の私にとって母の死はこの世の終わりが訪れたと思える程の衝撃だった。 そんな中、私を救ってくれたのは、父の妹の美沙おばちゃん。 30歳過ぎても未だ独身の叔母は、その頃大ブームだった韓流スターにぞっこんになり、日本中を巻き込んだ大ヒット韓国ドラマの主人公に、全てを捧げる恋をした。 そして、幼い私は、叔母が韓国へ行く口実にいつも使われた。 「お兄ちゃん、詠美は姉さんが亡くなってからどこにも行けてないじゃない? 私、韓国に行きたいと思ってるんだけど、詠美も一緒に連れて行っていい? 中学生になったら部活とか始まって旅行とか行けなくなるし、兄さんが連れて行けるわけないし、遼太郎は大学生になって自分の世界があるし、詠美は何もなくて暇でしょ?」
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