第1章

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*  研究員たちが慌ただしく行き来している中、六発の銃声が響いた。  彼らを驚かせたのは銃の存在だけではない。『一秒間に六発の銃声』を響かせた人間はその場にたった一人しかいなかったからだ。  ちなみに撃たれた本人はちょうど部下に八つ当たりをしていたところだった。その部下からしたらさぞかしありがたかったに違いない。 「まさか真っ先に頭を撃つとはな。脳破壊して俺を馬鹿にしたいのか」 「馬鹿にしてますけど馬鹿にしたいわけではありません。あ、『貶してるけど頭悪くしたいわけじゃない』という意味です」 「わざわざ訂正しなくても分かる。タイミング悪いな。見ての通り俺は今最高に機嫌が悪いんだ。こいつの頭をかち割りたいくらいにはな。お前の頭の場合は割っても割り切れないだろうが」 「科学者は本当に計算好きですね」 「そっちの『割る』じゃない」  言うが早いが、ヴァイスはベルトに差し込んだ銃を抜いて発砲した。
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