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パリン、と音が響いた。
殺人鬼は相変わらず笑みを浮かべたまま額の前にナイフを構えており、たった今振り下ろされたヴァイスの手には割れたフラスコが握られていた。
「大丈夫ですか?」
彼の震える手からそっと試験管を抜き取るとラットは心配そうに自分よりも高い肩に手を置く。
「ラット」
「はい」
「お前、ここに留まる気か」
「そうですね。あなたにも興味が湧きましたし」
「じゃあ一つ、ゲームをしよう」
「ゲーム?」
言いながらヴァイスは自分でも何故そんなことを思いついたのか分からなかった。
「期限は一年。それ以内に俺を殺せ。その代わり、俺もお前を殺すつもりだ」
「また大胆なこと思いつきますね」
「お前の言う通り、退屈だったんだよ。だがここでの無差別殺人はやめろ。狙うなら俺だけにしとけ。小間使いが減っちゃ迷惑だからな」
「了解~。殺しの才能が上か、科学者の頭脳が上か、ですね」
「いずれにせよ――一年以内に目的を遂行出来た者の勝ちだ」
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