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「でも、いつものホームだから、間違いようはないんだけどなあ」
「ちょっと待って。きさらぎ駅、調べてやるから」
「うん」
「なあ、調べたけど、きさらぎ駅なんて、どこにもないぜ?」
「えっ?マジ?」
「うん」
「ちょっと俺のほうでも調べてみる。きさらぎって地名で見てみるわ。」
「ああ」
「ちょっwきさらぎ町って、岐阜だし。しかも、その名前の駅すらない」
「ありえねえ。本当にきさらぎって言ったのか?」
「ああ、間違いない」
「いったい、この電車、どこに向かってんだ?」
「周りに誰かいねえのかよ」
「居ることには居る。なんか覇気のないサラリーマンと、不気味な婆さんw」
「じゃあ、その二人に聞いてみればわかるんじゃね?」
「ああ、ちょっときいてみるよ」
「すみませーん、きさらぎってどこなんですかね。俺、電車乗り間違えちゃったみたいで」
「・・・」
「ヤベエ、婆さん、耳が聞こえてねえみたい」
「しゃあねえな、じゃあサラリーマンに聞いてみれば?」
「すみません。きさらぎってどこですか?その駅からどうやったら東京まで帰れます?」
「わからない。そんなことは終点で聞いてくれ」
「は?」
「おい、ヤベエぞ。サラリーマンもまともじゃねえ。」
「どういうことだ?」
「わからないってさ」
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