きさらぎ行きの電車に乗って

4/15
前へ
/15ページ
次へ
「でも、いつものホームだから、間違いようはないんだけどなあ」 「ちょっと待って。きさらぎ駅、調べてやるから」 「うん」 「なあ、調べたけど、きさらぎ駅なんて、どこにもないぜ?」 「えっ?マジ?」 「うん」 「ちょっと俺のほうでも調べてみる。きさらぎって地名で見てみるわ。」 「ああ」 「ちょっwきさらぎ町って、岐阜だし。しかも、その名前の駅すらない」 「ありえねえ。本当にきさらぎって言ったのか?」 「ああ、間違いない」 「いったい、この電車、どこに向かってんだ?」 「周りに誰かいねえのかよ」 「居ることには居る。なんか覇気のないサラリーマンと、不気味な婆さんw」 「じゃあ、その二人に聞いてみればわかるんじゃね?」 「ああ、ちょっときいてみるよ」 「すみませーん、きさらぎってどこなんですかね。俺、電車乗り間違えちゃったみたいで」 「・・・」 「ヤベエ、婆さん、耳が聞こえてねえみたい」 「しゃあねえな、じゃあサラリーマンに聞いてみれば?」 「すみません。きさらぎってどこですか?その駅からどうやったら東京まで帰れます?」 「わからない。そんなことは終点で聞いてくれ」 「は?」 「おい、ヤベエぞ。サラリーマンもまともじゃねえ。」 「どういうことだ?」 「わからないってさ」     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加