きさらぎ行きの電車に乗って

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「じゃあ、そのサラリーマンはどこに行くかもわからねえ電車に乗ってるってこと?」 「そうらしい」 「酔っ払ってんのか?そいつ」 「酔っ払ってるってより、なんか目つきがヤバイ」 「そっかあ。そりゃ関わらないほうがいいかもな」 「いきなり刺してきたりしてなw」 「じゃあ仕方ないから、そのまま終点まで乗るしかねえだろ」 「あ、そうだ。携帯のGPSでマップ調べりゃわかるんじゃね?」 「だな。」 「んん?んんんん?」 「どした?」 「GPS,出発点の駅のままになってるw」 「お前、地下鉄乗ってんの?」 「いや、確か普通の電車のはず」 「それじゃあ、場所はわかんねえな」 「まいったな」 「窓の外、見てみろよ。なんかランドマークあるかも。」 「うーん、真っ暗だな」 「街の灯りくらいあるだろ」 「それがさあ、真っ暗なんだよ。マジ、ここどこ?」 「建物は、見えないのかよ」 「それがさあ、なんかビルとかなくてさ。ひたすら古びた民家ばっか」 「いくらなんでも、それはないだろ。東京だぜ?」 「だよな。なんか不安になってきたら、喉渇いてきた。」 「あ、そうだ。車掌いるだろ、車掌。聞いてみれば?」 「あ、そうか。ちょっと探してくるわ」 「すみません、すみませーん」 タクヤは車掌室の窓を叩く。 「・・・」 「ちょっと!聞きたいことあるんだけど!」     
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