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「高崎さんですか。マコトです」
深夜。兄の身の回りを整え自室に戻ったマコトは、高崎と連絡を取っていた。
「タクミが抵抗するので拘束具をください……はい、とにかく頑丈な枷を……身体を傷つけても構いません」
力でねじ伏せられるとしても、タクミの抵抗は煩わしかった。ピアスを空ける時に使ったベルトでは、拘束し続けるという点において、やはり物足りない。首輪同様に、確実に繋ぎ止めておくアイテムが欲しかった。
「ありがとうございます……では」
通話を終えたマコトは床へと腰を下ろし、長い溜息を吐いた。
タクミはなかなか堕ちない。当初の計画では、すでにマコトの復讐は完遂していたはずだ。タクミの心を支える何かを挫かないと、いつまで経っても進展しないだろう。だがそれが何なのか分からない。
「タクミ……」
マコトは憎い兄の名を紡ぎ、新たな計画を考えるべく重い瞼を閉じた。
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