紅い部屋

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手すりにつかまって周りの景色を一周したけれど、近くに船がいる気配はない。 仕方なく操縦席へ向かった。 奪ってきた鍵の束の中に船の鍵があるかもしれない。 そして気づいた。 無線が目に入った。 思わず手を伸ばしていた。 使ったことなどないから適当にボタンを押し続けると奇怪な音が鳴った。 そして何やら声が聞こえてきた。 相手が何か問いかけてくるけれど、そこでまた気づかされる。 声が出ないことに。 やはり神様なんていないのだ。 無線機を置くと遠くに揺れる光をじっと見つめた。 このまま死んでいくのかな……。 それとももう死んでいるのか……。
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