163人が本棚に入れています
本棚に追加
彼らが提示した条件、研究実験の協力費用として支払われる金額やその他の報酬……。
まだ学生だった私にはピンとこない話で……。
ただひとつ。
私はただひとつの言葉を……しっかりと受け止めた。
「あなたのために私たちは生きます」
赤の他人が……。
まっすぐ私の目を見てそう断言した。
数日前に枯れたと思った涙が頬を伝った。
彼らが生きる意味が私自身だと言うなら…生きなきゃいけない。
家族を解放してあげなきゃいけない……。
私のせいで壊れた家族を……。
捨てなきゃ……。
私はベッドに横たわったまま、目を伏せるようにして頷いた。
その仕草を見た二人は深々と頭を下げた。
仕事の契約を取り付けた後の安堵の表情を浮かべることなく、彼らは真剣な表情で私の覚悟を全身で受け止めていた。
それは喜びなんかじゃない。
重い、重い、責任。
重圧に押しつぶされないように必死で私の目を見て言った。
「絶対に守り抜きます」
最初のコメントを投稿しよう!