藁の家

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私に休みはない。 自宅で行う作業に休みなんてない。 小説を書いて、アクセサリーを作って……。 一日がそうやって過ぎていく。 雑誌の背表紙に私がデザインしたアクセサリーが載ると、生きてるって実感する。 原価を考えれば一個売っても微々たる利益。 それでも後ろを振り返れば私の足跡はしっかりとついている。 たまに……家族に手紙を書く。 絶対に送ることのない手紙……。 『お母さん、お父さん。佳奈、圭太。 お姉ちゃんは元気です。 いつか胸を張ってみんなに会えたらいいなって…そんな夢を見ながら、毎日頑張って生きてます。 いっぱい迷惑かけたけど…まだ今も迷惑を掛けてるんだと思うけど、それでも私にとって忘れる事の出来ない家族です』 失ってから気付く大切なモノ。 手に入れてから気付く大事なモノ。 そのどちらも、私の分岐点には存在して、今も尚、私の心の中に存在する。 二度と会えなくても……。 <殺したいほどアイシテル ―Beginning― 完>
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