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 あまりの疲労で、さっきまでフル満タンだった緊張が、根こそぎなくなっていた。 「いいよー。サンドイッチあげる。どれが良い?」 「なんでもいいよ、食べられるなら」  自然と口調が砕け、顔から力が抜けていた。差し出された三枚入りのサンドウィッチを受け取る。ハム、卵、きゅうり。薄い包みを剥がし、ハムと卵を重ね、二枚同時に口に入れた。 「わーすごい食べっぷり」 くすくすと笑われたが、尚人はそれを気にする余裕がなかった。 「飲み物も貰える?」 「いいよー」 サンドウィッチの子とは別の声がした。テントで日差しを避けながら食べていた、セパレート水着の長い髪の女性が、尚人の前にやってきた 「どうぞ?」 大人っぽくて、鼓膜に引っ掛かるような、セクシーな声だった。どこかで聞いたことがある気がする。 「ありがと」 水筒のコップを手渡され、尚人は礼を言った。中身はスポーツドリンクだった。飲み干したあと、甘味が舌にまとわりついたけど、一度飲むと止まらなかった。彼女に頼んで、もう一杯コップに注いでもらった。 「泳ぐの上手なんだって?」 セパレート水着がテントには戻らず、尚人の隣に腰を下ろした。彼女のサラサラした毛先が、尚人の肩に掠った。 「小学校のときにスイミングに通ってたけど――」     
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