グループデート

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「おまえ、ちゃんとLINE見てる?」 「見てない。ちょっと電源消してて」 「じゃ早く電源入れろって」  少し苛立った声で言われ、尚人はポケットからスマホを取り出した。電源を入れると、LINEの新着が何件もある。 スマホを弄っている間に、五十嵐の背中が遠くなるので、尚人は小走りになって彼を追いかけた。後ろで小さい子供が騒ぎ、それを窘める母親の声が聞こえてきた。ディズニーに遊びに来て、テンションが高くなっているのだろう。 昨日帰宅してすぐに、LINEで五十嵐から招待を受け、「ディズニー」という名のグループに参加した。今日遊ぶ四人組のグループを即席で作ったものだ。 「園内ではLINEで連絡取り合うから、スマホ無くしたりするなよ」 「わかってるよ」 「なんで電源消したんだよ。待ち合わせ場所を駅からゲート前に変更するって連絡が来てたんだぞ」 「悪かったってば」  ということは、わざわざゲート前から駅まで、尚人を呼びに来てくれたのだ。 「ごめん。俺のスマホ、バッテリー食うんだよ。もしはぐれたら、地図のアプリ使いたいしさ」     
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