グループデート

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 尚人と五十嵐の恰好はかなり似ていた。赤いトップスはもちろんだが、ボトムも黒のチノパンで被っていた。五十嵐のほうが、ズボンの弛み加減に計算されているものがある。五十嵐はセンス良し、と頭のなかでメモる。  先を歩く坂下と桂木の服装も、系統が同じで覚えづらい。下はどちらも青いジーンズ。上は水色とブラウンで違う。でも、ブラウンを着ているのが、坂下なのか桂木なのか分からない。髪の長さも同じぐらいだ。どちらかがショートだったら区別しやすいのに。 「水色の服が坂下さん」  隣を歩く五十嵐が、こっそり耳打ちしてくれる。助かった。こうやってフォローしてくれる人がいると楽だ。ありがたい。  ゲートをくぐって入園し、土産屋が並ぶワールドバザールをさっさと通り過ぎる。管楽器のごちゃごちゃした音色のBGMがうるさかったので助かった。買い物は帰る直前にすれば良い、と女性陣が言っていた。 「とりあえず、二時間待ちのアトラクションはファストパス発行しとこうよ。その間に人気ないやつに並んでさ」  水色が振り返って、ディズニーを合理的に楽しむ方法を語ってくる。  尚人はディズニーは嫌いだが、ジェットコースターは好きだった。もうここまで来てしまったのだ。楽しんだほうが得だ、と割り切ることにした。     
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