特別な友達

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特別な友達

「五十嵐です」  声がしたあと、定食の皿を載せたお盆が、テーブルの上に置かれた。今日の日替わりは、ハンバーグとカキフライだ。尚人も同じものを食べていた。 「また来てんの」  がたんと音を立てて、五十嵐が椅子を引いた。 「うちの学食より美味しいから」  尚人は何度目かの言い訳を口にした。 五十嵐が隣に座って食べ始めるのを、ぼんやりと眺める。  すっかりこのパターンが定着している。昼時に尚人がS大の食堂に来て、ランチ定食を食べる。その最中に、五十嵐がやってくる。一緒に食べる――三週間前にディズニーでグループデートをしてから、ずっとだ。 「懐くなよ」  つれない言い様だが、声は険しくない。尚人は肩をすくめた。 「美味しいから食べに来てるだけだって」  自分が「押しかけ友達」だということは、自覚している。 「LINE見たよな? また坂下さんたちが遊びに行こうって」  尚人が話を振ると、五十嵐が「もう俺はいいかな」とつまらなそうに呟いた。 「桂木さんは? もういいの?」     
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