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以前住んでいたアパートから約10分ほど歩いた繁華街に、
『ザ・バーグ』というチェーン店らしき店があった。
美味そうな匂いに誘われ、妻とふたりでよく出かけたのだ。
だがもうかなり前になるのだが、その店は閉店してしまっている。
確かチェーン店だからと思い、インターネットを利用して調べたところ、
同じ名の店がヒットした。
すぐさま場所を調べ、妻と共に食べに行き、
お気に入りのハンバーグに喜び勇んで舌鼓を打った。
… … … … …
「これって、ソーセージ…」
オレは彼女の言葉にようやく気付いた。
この店の肉は燻製肉だったのだ。
「そうだね、今気付いた…」
オレは絶句した。
オレが唯一お勧めする美味い店を
素晴らしい彼女に披露するために、
多少の後ろめたさを纏いながら、
オレはフォークとナイフを器用に使い、
彼女の素晴らしい笑顔をスパイスにした。
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