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「何を言ってるの、あなたたち。橋本くんはただの同僚、ううん後輩よ。歳だって離れているし」
パスタをフォークに絡めながら聡子は否定を口にするが、残念ながら彼女の狼狽は隠しきれていなかった。早口すぎるし、ところどころ噛んでいる。それに、パスタがうまくフォークに巻き付いていない。
睦美すらごまかせていないのに、普段から噂話や他人の恋愛模様に目がない彼女たちをごまかせるわけがなかった。
「またまたあ、センパイってば。隠し事はナシですよ」
佐々木が聡子に肩をすり寄せる。
「そうですよお。ねえ、狭山さん?」
「え、なに?」
山本に突然話を振られた睦美は、思わず間の抜けた声を出してしまった。この手の話は得意ではないし、傍観者を決め込んでいたので、まさか矛先がこちらを向くとは思っていなかったのだった。
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