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「なに? じゃないですよ。もう。西川さんは絶対橋本さんのことが好きですよね、って話です」
山本は不満あらわに語調を強め、話の概略を説明している。
ああ、面倒くさい。睦美は眉間のしわに注意しながら、なるべく平たんに対応しようと心がける。いつ聡子がもとに戻るかもわからないのに、適当な相槌を打ったばかりに割を食うような事態は真っ平だった。
「さあ。私にはわからないわ。それに、それはあなたたちの勝手な憶測でしょう?」
「やだなあ、狭山さんってば。確かにそうですけど、西川さん、熱っぽく橋本さん見つめてるんですよー。これって絶対に恋じゃないですか」
佐々木が横やりを入れてきた。右手で拳を作って、恋を連呼している。
「ふうん」
睦美が気のない返事をすると、二人とも諦めたらしく、視線を聡子へと戻した。
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