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暖かい場所
「なにその夢…」
そう言ったのは山本博美。私の何でも話せる友人の1人だ。
「とにかく、夢の中の博美は入院してて、2028年に地震が起きるんだって!」
「助信…また夢の話かよ…女子ってそーゆーの好きだよな」
半笑いで博美と私の中に割って入って来たのは中山心(なかやま しん)、彼もまた仲の良い友人の1人だ。彼は家に帰らず大学内に残って絵を描いていたり、景色を描いているうちにその場で野宿したりと破天荒かつクリエイティブな性格で少年心を持ち合わせている人物なので私たちはボーイと呼んでいる。
「おいおい、一緒にすんなよ。オカルト女は英美だけよ」
「なっ!でもでも!ボーイも聞いてよ!まだ話の続きがあるんだってば!!」
「英美って昔から怖い夢とか変な夢見ると博美に直行するわよね。大変ね、博美も」
とにやにやしながら輪に入って来たのは山本秋香音(やまもとあかね)だ。成績優秀、美人。なのにすごく天然。そこも可愛いからずるいと思う。ちなみに山本博美、山本秋香音は名字が一緒なのと席が前後なのとでとても仲が良く、クラスメイトからは『やまも’s』と呼ばれている。そんな2人の側に居て沢山話せて笑える優しい居場所が私にはあって、誇りでもあった。
「で、続きは?あるんでしょ?」
博美が興味無さげに聞いた。知った上で私は続けた。
「あ、そうそう。それでね起きたのが明け方3時でさ…
家の前でガサガサって音がしたり、ドアノブがちゃがちゃされてめっちゃ怖かった…」
「「「それを先言え!!!」」」
3人は口を揃えて怒鳴った。
私が順を追って話した方が良いかなーっと思ってと言うセリフは3人からのバカ、危ない、警察呼べ!や、本当お前…と心配の声で掻き消された。
「ままま、今度またそんな事あったら連絡するわ、へへへ」
頭を掻きながら笑ってみせたけど3人とも心配なのと怒っているのとでブツブツ言っていた。
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