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夜中の1時30分。
博美のマンションが見えた。
「6階だっけ?」
「うん…」
マンションの中でも警戒しながら博美の部屋を目指した。
すんなり博美の玄関の前まで着いた。玄関を開けると博美は膝から崩れ落ち泣き始めた。
英美は博美を引きずって部屋の中へ入れると玄関の鍵を閉めて、そのまま6畳部屋に置いてあるソファに腰掛けた。
「ねぇ…なんで英美はそんなに平然としているの?」
玄関の方から博美の声が聞こえる。
英美は廊下を部屋から覗き込みながら言った。
「ねぇ…こっち来て1回落ち着こう…寒いでしょ?」
10月上旬といえど夜中は寒い。
「あんだけ走ったんだから英美だって寒くないでしょ?」
「そうだけど…そこから話すの?やだよ…そもそもここは博美のい「包丁!!!!」
博美は遮って叫んだ。
「殺されかけたんだよ?!しかも友達に!!なんで?!」
「私だって知りたい!ボーイがあんなことするはずないって思いたい!その為に今は落ち着いて話し合わないと!!!」
負けじと博美に畳み掛けるとやっと部屋に入って来た。
「ごめん…怖かった…」
「うん…わかってるから…」
目を伏せたまま博美は私の隣に座った。
外はパトカーや救急車のサイレンや叫び声が鳴り響く。
「これからどうしよう…?」
口を開いたのは博美だ。
「あのね、さっきから秋香音と連絡が取れないんだ、、、。」
「え、、、そんな、、」
10秒くらいの沈黙があり、先に口を開いたのは博美だった。
「秋香音の家に行こう」
「うん」
2人とも上着を脱ぐのを忘れていたので、すぐに出発することにした。
時刻は夜中の2時。
秋香音の家まで走って10分。極力近い方だ。
2人が玄関を出たその時、ベランダ側から
ドンッ!
と音がし、女の人の悲鳴が聞こえた。
すぐにベランダ側まで行って6階から下を見ると普通車2台が正面衝突していた。
「事故?救急車呼ぶ?」
「いや、いい。女の人が電話してる。多分警察とか救急車を呼んでる。早く秋香音の所へ行こう!」
やると決めたら一直線の博美は秋香音の無事を確認する為、さっきとは別人のように冷静になっていた。
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