第一章 「僕の純潔を返せっ!」

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そんな際どい精神状態のまま黒板を呆けた顔で眺めていると、ガン見女もといガン見男は僕の目の前まで来ていた。   そして不機嫌そうな顔から一転すると、天使のような微笑みを浮かべたのです。   「愛してるよ、ヒロちゃん」 黒柳徹男はそう言って僕の唇を優しく塞いだ。   その瞬間、思考力は完全に宇宙の彼方へとぶっ飛び、頭の中が真っ白になった。   体が硬直してしまい全く身動きがとれない。   一方、教室は歓喜と怒号に包まれている。   そんな中、僕は心の中で静かにこう呟いた。   ああ、いままで大切に守ってきた()純潔(・・)が……。   佐藤浩志・16歳。   普通という言葉をこよなく愛する、健康優良没個性男子高校生。   だが僕のファーストキスは普通とは程遠い形で、転校してきた()()()に突然奪われたのだった。
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