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そんな際どい精神状態のまま黒板を呆けた顔で眺めていると、ガン見女もといガン見男は僕の目の前まで来ていた。
そして不機嫌そうな顔から一転すると、天使のような微笑みを浮かべたのです。
「愛してるよ、ヒロちゃん」
黒柳徹男はそう言って僕の唇を優しく塞いだ。
その瞬間、思考力は完全に宇宙の彼方へとぶっ飛び、頭の中が真っ白になった。
体が硬直してしまい全く身動きがとれない。
一方、教室は歓喜と怒号に包まれている。
そんな中、僕は心の中で静かにこう呟いた。
ああ、いままで大切に守ってきた僕の純潔が……。
佐藤浩志・16歳。
普通という言葉をこよなく愛する、健康優良没個性男子高校生。
だが僕のファーストキスは普通とは程遠い形で、転校してきた男の娘に突然奪われたのだった。
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