第二章 「僕は人間椅子じゃねえっ!」

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現在、僕は窓際の席で人間椅子と化していた。   太腿の上にちょこんと腰を下ろしているのは、ついさっき僕に熱烈なキスをかましてきた黒柳徹男であった。   ヤツは僕の首筋に両腕を絡めながら、ウットリした表情を浮かべている。   さながらお姫様抱っこ状態だ。   授業中にも関わらず欧米人も真っ青のこの大胆な行動――。   普段の豊島なら問答無用で一喝するはずだ。   だがあの口うるさい日本史大好きオヤジは、今日に限って事なかれ主義を貫いていた。
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