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「あのう……黒柳君――」
「いやっ、名前で呼んで」
「ええと……じゃあ、徹男君――」
「呼捨てで」
ヤツは潤んだ瞳を僕に向けてきた。
いや、可愛い……ああ、違う違うっ!
騙されるな浩志、こいつは女の子ではないんだっ!。
僕は心の中で自分自身に何度も言い聞かせた。
「悪いんだけど、そろそろ降りてくれないかなあ……」
「いーやーだっ!」
「太腿がヤバいくらいに痺れてるんだよ。このままじゃ、脚がぶっ壊れちゃうんだけど……」
「絶対にいーやーだっ!」
ヤツは大声で駄々をこねると、僕の胸に顔を埋めた。
もしこれが女の子であれば何の問題もない。
相手が望む限り、何時間でも人間椅子になってくれよう。
だが悲しい事にヤツは男の娘なのだ……。
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