第二章 「僕は人間椅子じゃねえっ!」

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「あのう……黒柳君――」   「いやっ、名前で呼んで」   「ええと……じゃあ、徹男君――」   「呼捨てで」 ヤツは潤んだ瞳を僕に向けてきた。   いや、可愛い……ああ、違う違うっ! 騙されるな浩志、こいつは女の子ではないんだっ!。 僕は心の中で自分自身に何度も言い聞かせた。   「悪いんだけど、そろそろ降りてくれないかなあ……」     「いーやーだっ!」     「太腿がヤバいくらいに痺れてるんだよ。このままじゃ、脚がぶっ壊れちゃうんだけど……」     「絶対にいーやーだっ!」   ヤツは大声で駄々をこねると、僕の胸に顔を埋めた。   もしこれが女の子であれば何の問題もない。 相手が望む限り、何時間でも人間椅子になってくれよう。 だが悲しい事にヤツは男の娘なのだ……。
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