第一章 「僕の純潔を返せっ!」

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勝った……勝負を挑んでおきながら、敵前逃亡とは何とも情けないヤツだ。   そこには勝手に勝負に参加して、勝手に勝ったと思い込み、勝手に喜んでいる男子高校生姿の姿があった。言うまでも無くそれは僕だった。   一人きりになった僕には、当然のことながら周りにいた乗客たちからの ”このガキ、あの女の子になんかしたんじゃねえ?” 的な視線が容赦なく降り注いでくる。   あっ、ハメられたっ! あのクソアマ……今度会ったら有無を言わさず顔面パンチだ。 そう心に誓いながら拳をにぎりしめていると、隣に座っていた老婦人(推定65歳)が僕に声をかけてきた。
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