第一章 「僕の純潔を返せっ!」

9/22
前へ
/207ページ
次へ
「お兄ちゃん、彼女と喧嘩でもしたのかい?」   「彼女? 何のことですか」   「いまさっき電車から降りてった、あの可愛らしい女の子だよ。随分とお兄ちゃんのこと睨んでたじゃないの」   老婦人の言葉に、周りにいる乗客たちの耳がデカくなってゆくのが、手に取るように分る。 タブロイド紙よろしくの、下世話な興味――。 よしっ、ここは一つ僕の得意技(・・・)で切り抜けよう。   「あれはね、ただの嫌がらせですよ」   「嫌がらせ?」   「ええ。いま、女子校生の間で流行っているゲームです」
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加