1人が本棚に入れています
本棚に追加
「はあ!? だから違うって! すぐそうやって悪く考えるの、本当止めて!」
「じゃあ何で!」
私の言及が不本意だったのか、彼女が眉を吊り上げ明確に不機嫌を露わにする。背の高い彼女が大きな声を上げて紛糾する姿は、正直言って怖い。でもこの件に関してだけは、私も引くわけにはいかなかった。
お互いがお互いに詰め寄り、どんどん顔が近づく。だが今にもぶつかろうかというところで、彼女がふっと表情を緩めて言った。
「そんな大事なものなら、絶対に取りに来るじゃん。だから、持ってればもう一度会えると思ったの」
「はあ!? だからっ……ぅえ?」
「会って、言いたいことがあったから!」
彼女の言っていることに追いついていけない私を置いて、彼女はどんどん行動を進めてしまう。一歩、二歩と私から距離を取って、彼女はその全貌を私に見せつける。未だに前のめりのまま呆けている私と向き合うと、彼女はコホンと咳払いをして、居住まいを正した。
妙に恭しい雰囲気となった彼女が、手を差し出してくる。
「じゃあね。友達になれなくてゴメンね。裁縫、これからも頑張って」
最初のコメントを投稿しよう!