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「よりはね、ここ一か月くらい毎日放課後に、ここで練習してたんだよ。ゆうのお別れ会で歌いたいって先生に言ったら、内緒で開けてくれたんだ」
「ええ!? なにそれいいな! ていうか、一か月も練習してたの!?」
クラスのみんなが知ったら、めちゃくちゃうらやましがられること間違いなしな話だ。みんな出し物の練習場所に困って、屋外トイレの裏とかでやってたくらいなのだ。こんなことを秘密にしていたなんて、全く先生も人が悪い。
それにもう一つの方も驚きだ。一か月も練習していたなんて、そりゃああれだけ素敵な歌が歌えるわけだ。
全く私は、彼女について何も知らない。
「知らなかったでしょ?」
「ああ、うん。全然、知らなかったんだね私」
私は両手を掲げて、今日三度目の降参のポーズを取った。きっと私は、友達になれたとしても、絶対に彼女には敵わなかったろう。
彼女は満足げに大きく息をつくと、ゆっくりと手を突き出し、シュバっと三本の指を折り曲げピースした。
「ひっひひー! これでぜーんぶ、よりの勝ち」
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