二章

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「初めてのドライブはどう?これから2時間ぐらい行けばサービスエリアがあるから、そこでお昼ご飯にしよう。あ!もし、酔ったら途中でも休憩するから、遠慮せずに言うんだよ?」 俺が泣いた理由を、穂高は追求しなかった。 生まれ育った場所を離れ、感極まったと思ってくれたらしい。 気を使わせてしまったな。と、俺は苦笑する。 手放せないのなら、この手の中で大切にすればいいんだ。 一生掛かっても無理かも知れないけど、少しづつになってしまうけど、穂高から奪ったものを、返して行こう。 後ろ向きななってる暇なんてない。 「酔うって?俺、お酒飲んだりしてないぞ?」 「あー…そっか。乗り物に乗って体調が悪くなることも、酔うって言うんだ。気持ち悪くなったり、頭が痛くなったりする人が居るから、千春もそうなったらちゃんと言ってね。」 穂高が苦笑いしている所を見ると、これは一般常識の類か。 俺は本当に何も知らないんだな。と、少し情けなくなる。 「こらから覚えて行けばいいからね。」 そんな俺の心情を察して、穂高が慰めの言葉をくれる。 「そうだな!これから覚えていく!これからも、色々教えてくれ。」 わざと大きな声を出し、気持ちを切り替える。前向きになろうと思った矢先に凹むことのほうが情ない。 穂高は、少しだけ苦しそうな顔をしていた気がしたが、すぐにいつもの柔らかい笑みに変わってしまった。 .
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