二章

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「昼飯は、俺が買ってくるから!1人で買えるから!」 俺は、運転で疲れているだろう穂高を車内に残し、1人で昼ごはんを買いに行くことにした。 「うん、ここまで来れば心配ないかな。知らない人について行ったらだめだよ?」 頭も撫でてくれる穂高に笑顔を向け、うんうんと頷く。 「あ、そうだ。この旅の思い出に、写真撮ろうか。」 そう言った穂高は、近くの車から降りてきた男の人にスマートフォンを渡して写真を頼む。 「せっかくだから、サービスエリアが入るように撮って貰おう。」 穂高と手を繋ぎ、サービスエリアの名前が入るように立つ。 写真に慣れていない俺は緊張してしまい、穂高の手をぎゅっと握りこんでしまった。 ふふっと穂高の笑い声が聞こえ、俺は少し不機嫌な顔をした。その瞬間、撮りますよー!という男の人の声と、カシャっという小さなシャッター音が聞こえた。 撮ってもらった写真には、楽しそうに笑う穂高と、不貞腐れた俺が写っていた。 せっかくの写真なのに。もっと笑ったやつがよかった。 そう思ってしょんぼりしていると、穂高が俺の肩を抱き、頬をくっつけてスマートフォンを目の前に構えた。 「もう1枚撮ろう。今度は笑ってね?」 穂高のその提案に俺は嬉しくなり、ニッコリ笑ってスマートフォンを見つめた。 「ちゅっ」 頬に柔らかな感触を感じて驚いた時には、撮影は終わっていた。 「ふふ。千春のほっぺ、柔らかい。」 穂高が頬にキスしたのだと気付いた俺は、体温が急激に上昇して行くのを感じた。 「穂高、お前、急に、なにすんだよ!」 「春が可愛かったから、つい。さっきの写真と一緒に、春のスマホに送っておくね。」 ニコニコと機嫌の良い穂高は、これ待ち受けにしようかなぁ。と、言いながらスマートフォンを操作している。 「お、おれ、飯買ってくる!ちゃんと俺にも送っておけよ!!」 俺は胸の奥のむずむずに耐えきれず、サービスエリアの建物に向かって走った。 その時の俺の顔は、穂高以上にニヤニヤしていたのだった。 .
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