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「ハッピー・ハロウィン!」
弥王が着替えて町屋敷に着いた時には、夕闇が町を覆って黄昏に染まっている時だった。
町屋敷の入り口は大勢の子供・・・・・・ではなく、王宮に出入りしている貴族の女性の姿が多く見受けられた。
「流石、女誑しで定評のある公爵だ。
これじゃまるで女性ホイホイだな」
そんな事を呆れながら呟いて、弥王は屋敷の出入り口へと向かう。
まだ屋敷から距離があるというのに、女性達が付けている香水や白粉の混ざった臭いが風に運ばれて鼻腔を擽る。
この中に璃王が居るんだろ?大丈夫かよ、彼奴・・・・・・。
弥王は、嗅覚が敏感な相棒の心配をしていた。
「あら、弥王様よ!
相変わらずステキですわ」
「あれで14歳なんですってね、まったく見えないわ」
弥王の姿に気付いた一部の女性が、弥王を話題に話している声が聞こえた。
ちなみに、彼女達は弥王が女であるなんて夢にも思っていない。
本日の弥王の仮装も、男装を意識した吸血鬼の格好をしている。
それで外見補正プラス元々の身長や風貌もあり、貴族の女性の中には弥王のファンも多く存在する。
あー、女って喧しいな―。
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