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光にとって、自分が作るものはわが子も同然だ。それを傷つけた相手は死んでも許せない。淳子に復讐してやりたかったが、同時に、そんなことをしてももう遅いのだという気持ちもあった。
死んでしまったものは生き返らない。それと同じで、もう手遅れなのだ。
きっと、わが子を殺された親はこんな気持ちなのだろうと思った。思い出すほうが辛い。だから忘れていたい。決して忘れられないのに、本当は忘れたくはないのに、もし忘れても生涯憎しみは消えないだろうと思うのに、忘れていたいのだ。
考えると苦しいから……。
たかがデザインくらいで大げさだと笑われるかもしれない。けれど、笑われても、誰にも理解されなくても、苦しいものは苦しい。
「もう、忘れたい……」
絞り出すように言って、溢れる涙を拭いた。
いつもなら「泣くな」と言って宥めるように肩を抱いてくれる清正が、この日は黙って座っているだけだった。組んだ指に顔を載せて、怒ったように口を結んで何もない壁を睨んでいる。
不安になって、自分から少し身体を寄せてみた。
「光」
振り向いた清正が急に強く抱きしめてきて、身体が石のように固まった。心臓が大きく跳ねて、息が止まる。
「清正……?」
押し返しても、清正は腕を解かなかった。
状況がよくわからない不安、同じくらいの、よくわからない切なさが、両方同時に押し寄せて、光は動けなくなった。
「光……」
清正の腕の力が強くなる。
「清正……、痛い」
やっとの思いで訴えると、はっとしたように清正の腕が緩んだ。
身体が離れる。
息の詰まるような沈黙が流れた後、清正が一つ、長いため息を吐き出した。黙って見上げていると、ポンと軽く頭を叩かれ、そのまま髪を撫でられた。
「飯、作ってやるから泊まっていけ。汀も喜ぶし」
いつもと変わらない声で言われ、光はこくりと頷いた。
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