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「あんなに綺麗なまま、大事にしまっておいてくれたのか……」
零れるように咲く薔薇の花。その下に、光は一番綺麗で大切な秘密を隠した。
誰にも奪われないように。
誰にも壊されないように。
名前さえ付けずに、鍵をかけて封じた。
ずっと、見ないふりをしてきたのは光も同じだった。それが壊れたら生きていけないと思ったから。
光が告げると、清正は「うん」と頷いて微笑んだ。
「綺麗だった」
作品のことを言っているのだと思った。
「清正……」
覗き込んでくる顔を両手で包む。清正の目がじっと光を見ている。
清正の黒い瞳が好きだ。初めて会った日からずっと。
顔が近付いてくる。ギリギリまで綺麗な黒い光を見ていた。睫毛を伏せながら、清正の睫毛も唇もみんな好きだと思った。
口づけを繰り返すうちに、焦燥に似た渇きが大きくなる。
熱く張り詰めた清正の雄が何かとても大切なものに思えて、こんなに硬くなっているのは何かに埋め込むためなのだとふいに気付いた。
求める何かを抉り、突き立てるために必要な硬さ。これを自分の身の裡に欲しいと、ごく自然に思った。
暴れる猛りに指を絡めると、清正が苦しげに呻く。
「光……」
キスが深くなり、喉の奥まで舌を差し込まれる。
「ああ、挿れたい……。光が欲しい……。全部、欲しい」
「清正……」
「光の中に入りたい……」
ここから、と掴んだ尻を割り開かれ、固い蕾に熱を押し当てられる。
どんなに固く閉じていても、蕾は開かれるのを待っている。光もこの熱く硬いものが欲しいと思った。
舌で喉を突くような激しい口づけの合間に、清正に囁く。
「挿れて……。俺も、清正が欲しい……。清正と、一つにつながりたい……」
押し当てられたものが大きく脈を打って質量を増した。
「もう無理。我慢できない」
とろりとしたもので尻を濡らされ、人差し指が埋め込まれる。背骨の下のほうがもどかしく疼いて、光は呼吸を荒くした。
道を作るようにゆっくりと指が行き来する。曲げた指が隘路を広げ、当たると切なく疼く場所を何度も掠めた。
「あ……、あっ、そこ……」
びくびくと魚のように身体が跳ねた。
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