メロンだったら良かったのかもしれない

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 それから三日後、志織を売ってくれる八百屋が見つかったと連絡があった。 「二駅くらい向こうにあってね、いい野菜だけ売ってるって評判のお店なんだよ」  彼女の言葉は弾んでいた。未来への希望にあふれているように見えた。  数日もすれば、志織は売りに出される。そして誰かに食べられる。  僕の知らない彼女の味を、僕の知らない誰かが知る。  僕は決断しなければならなかった。
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