メロンだったら良かったのかもしれない

8/29
前へ
/29ページ
次へ
   *  宣言通り、志織は受験をしなかった。それでも彼女は毎日学校に通っていた。皆と同じように授業を受け、同じように勉強をした。  まあ実際のところ、スイカになれなければ一年後には受験が待っているのだから、それを見据えて基礎学力をため込んでいるという側面はあっただろう。志織はただ夢を見るだけの少女ではない。自分の未来について、きちんと真剣に考えている。考えていると思う。  周囲はもう誰も反対しないようだった。誰も彼も、応援に回るか、あきらめるか、興味をなくすかしていた。  僕ひとりを除いて。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加