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もう、いつ死んだっていい。
死ぬつもりでいた。
準備も万端だった。
なのに、どうして。
どうして今の今になって、こんなにも母の顔が思い出されるのだろう。
近くの椅子で泣いている女の子の声が、まるで母の泣き声のように聞こえてしまう。
僕は堪らなくなって、次の駅で降りた。
自宅の最寄り駅はまだ先だったけれど、耐えられなかった。
目頭が熱い。
こんな場所で、一人で泣きそうになっている。
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