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ぼんやりと見惚れている場合じゃなかった。
ここで鉢合わせすれば
今のとんでもない寸劇を覗いていたのは見え見えだ。
しかしまずいことに
気付いた時には既に逃げ道なんかなくて――。
「わゎ……っ!」
今来た道をつかつかと戻って来る
美男子の迫力に気圧されるように
僕は後ろ向け後退する。
しかしそこはコンパスの差だ。
思いのほか、彼の前進は早く――。
しこたま酔ってその上焦りに焦った僕は
雨上がりの滑る地面に足を取られて。
「うわっ……!」
「え……?」
そのまま――。
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