第1章

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「おい、大丈夫かよ?」 大学時代からの数少ない男友達――マサムネは慌てて僕の身体を起こしてくれるけれど。 「ん。大丈夫。ちっとも痛くなんかないよ」 もう体内のアルコール濃度が高すぎて 痛みなんかこれっぽっちも感じないみたいだ。 その割に 「信じてたんだよ。生徒からさ、自分はゲイかもしれないって相談受けて――夜遅くまで付き合って。その上、お人好しにも自分の性癖まで打ち明けて。それがどうだ?一晩明けたら僕はゲイの淫行教師ってレッテル貼られて、生徒たちのいい笑い者だよ」 胸が痛くて痛くて仕方なかった。 「同僚の先生たちは?」 「ダメ。例え噂だとしても進学校でスキャンダルは致命傷なんだ」 むしろ職員室こそが地獄。 「それで見かねた校長がね――」
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