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自ずと零れる小さな溜め息。
「まさかおまえまで僕がとって食おうとしてるって思ってるわけ?」
そりゃ学生時代は
気の迷いで一時期こいつに熱を上げたこともあった。
だけど出会った当初から筋金入りのノンケだと分かっていたし。
今さら――。
「違う違う。そんなんじゃないよ。本当に朝から出かける約束してんだ」
聞けば湯河原のひなびた温泉宿に1泊2日だという。
25歳、結婚前のカップルにとっては理想的な誕生日かもしれない。
「ふうん」
そんなことまで説明されてよけい惨めな気分になる。
「悪いな。ここは奢るから」
悪い癖だ。
マサムネは何の気なく僕の肩を撫で下ろす。
「いいよ――付き合わせたんだ、僕が出す」
その優しさが一人身の心に一層堪える事など
知りもしないで――。
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